「韓非子」を見よ!を読んで考えた部下力(1/n)
西のマキャベリ、東の韓非子と呼ばれる中国の方です。人間を動かしているのはただ一つ、利益。人間は利益によって動く動物であるという認識で「様々な人間関係における誤りのない対応の仕方」が書かれている。それを要約してくれた本、という感じです。
人を信じないとかそういう小さい問題では無く、外部の人に対して当たる時に必要な知識、教養として苦しまない準備ができると良いと考えている。
相手の意向を汲みながらこちらの考えを述べ、相手の気持ちに逆らわないでものを言い、その上で知恵と弁舌の限りを尽くす。これなら相手の警戒を解いて懐に飛び込み、言いたいことを十分に言い尽くすことができる。
早めに手を打つ
- 後で裏切られたと泣くよりも初めから警戒してかかった方が安全に生きられる
弱いものに強者はなびかない。相手から調子の良い回答を得られたとしても、それが果たされるという約束なんて何もない。こういう話はよくあるのではないでしょうか。 - 小さなことに着目して大局を読む
「聖人は微を以って萌(ほう)を知り、端を見て以って末を知る。」とあります。封神演義で有名な殷の国、紂王が象牙の箸を使い始めたことで重臣は行く末を恐れたそうです。箸を豪華にしたことで器、そして食べる料理、家、釣り合うものを求めていけば天下の富を集めてもまだ足りなくなろう、といったエピソードから来ています。上記の言葉は省略しております、正しくは象箸を見て〜と続くのですがこのエピソードを含むので短く覚えておけばいいかも。洞察力が求められる。 - 火種はボヤの段階で消す
「医者は病気でも無い物を治して名声を得ようとする」の考えから医者の言うことを聞かない蔡の国の王。10日ごとに病状を報告報告していた扁鵲という医者は最後に王を見たときには何も言わず去ったそうです。身体が痛み出した王は扁鵲を探しましたが後難を恐れた扁鵲はすでに国を出ていたとの逸話。物事を軽く捉えてトラブルの種になっているものはないだろうか。先んじて手を打っておかなければいけないケースというのは往々にして存在する。最近あらためて実感したもの。
自分に対する信用を高める
- ただ一度の嘘で信用を失うことがある
最近お客様に言われた言葉がある、「事実を正確に述べてください」と。これは非常に強い言葉だなと思った、当たり前ではあるがエンドユーザの信用を落とさないこと、事実を把握しておかないと報告もできない、曖昧にできない。厳しい状況に置かれている人ほど意識するのだろう。それぞれの立場の人と話ができるのでフロント寄りの仕事を選んだことは後悔していない。 - バカ正直である必要もない
バランスが難しい。誰かを傷つけるものでなければ良いのだろうか。 - 利害関係が絡んだ時にどう立ち回るか
板挟みの状態におかれて苦しむことは現実世界においては少なくは無く、利害関係まで絡むとさらに厳しい状況に置かれることがある。対応の仕方を誤ると双方から恨まれかねない。
相手の心を読んで対応する
- 君主を説得するのは難しい
十分な知識を身につけておくことの難しさではなく、こちらの意見を淀みなく部に立てる難しさでもない。そして言いたいことを残らず言い切ってしまう難しさでもない。
→「およそ説の難きは、説く所の心を知り、わが説を以ってこれに当(あ)つべきに在り」
相手の心を読み取った上でこちらの意見にそれを当てはめること、この1点が難しい。
この辺りが今回のタイトルにつけた「部下力」にあたる。以下10項目を省略した上で並べるので今後気をつけておきたい。
相手の意向を汲みながら上司、リーダーに進言する方法
- 相手が誇りにしていることは褒め、恥としていることは忘れさせてやる。
- 私利私欲の非難を気にしている相手には、大義名分をみつけ自信を持たせる
- 志の低さを気にしながらやめられない人には「意義のあることだ」と言う
- 理想の高さに振り回され計画倒れを起こす相手には、理想の間違いを指摘し「実行しない方が良い」と言う
- 自分の知謀を自慢している相手には似たような事例をあげて相手がそれを参考とするように仕向けこちらはあずかり知らぬ顔をしておけばよい
- 他国との平和共存を説く時はそれ人類の理想であることを力説し、トップ個人にもプラスになることをほのめかす
- 危険な事業をやめさせようとするときは、一応問題点を指摘したうえでトップ個人にとってもマイナスになることをほのめかす
- 相手の仕事を褒める時は他の同じような例を出し、諌める時は共通点のある別の例を出す
- 気を楽にさせる方法で励ますのがよい
- 能力に自信をもっている相手には、能力にケチをつけてやる気に水をさしてはならない。決断力を誇りにしている相手にはその決断の誤りを指摘し機嫌を損ねてはならない。知略に富むと思っている相手にはその知略の欠点を指摘し窮地に追い込んではならない。
打算で生きているわけでは無いけれど、地雷は踏まないに越したことはない。相手も自分も不快にならないためのエチケット、程度に考え「生きづらく」なることに無いように心がけておきたい。